感謝の気持ちに寄り添うワイン
by A. Madoka
以前、ワイン売り場で販売の仕事をしていたとき、
贈り物のご相談をたびたび受けました。
お父様へのプレゼントを探しに来た若いお客様は、
「普段はこんなワインを飲んでいるらしいです」
と写真を見せてくれました。
相手の好みに合うものを贈って喜ばせたいという想いに、
こちらの気持ちまで温かくなったものです。
もし売り場にあったら、
ぜひお薦めしたかったのが、こちらの赤ワイン。
マイ・ラブというワイン名の下は空欄になっていて、
自分でメッセージやイラストを描き込むことができるのです。
![](https://maliswine.com/wp-content/uploads/2021/04/IMG2-1024x753.jpg)
絵が得意な方なら、
オリジナルデザインのラベルを作る感覚で楽しめそうですね。
絵はちょっと、という方も気負わずに。
心のこもったメッセージと、
写真やシールで彩れば、
世界にひとつだけのラベルが完成。
家族や友人同士で寄せ書き風にしても面白いですね。
お手製のラベルは、贈る相手に
「あなたのことを想って選びました」
という気持ちが、まっすぐに伝わると思います。
母の日が近いので、
遠方で暮らす母へ感謝の言葉を添えてみました。
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さて、このワインの生産地域名はペイ・ドック。
フランスのワイン生産量の約4割を占める
南仏ラングドック・ルーション地方の
IGP(地理的表示保護)ワインです。
広大な産地で大量生産のイメージを抱かれがちですが、
それだけにコストパフォーマンスの高い
掘り出し物が見つかる地域でもあります。
造り手はデュペレ・バレッラ。
元・地質エンジニアのローラン・バレッラ氏と、
プロヴァンスで栽培と醸造を学んだ
妻のエマニュエル・デュペレ氏が
1997年にスタートしました。
地質のプロならではのノウハウを生かし、
南仏を拠点に、良質な土壌で育まれた
ブドウを厳選してワイン造りを行っています。
樽熟成のワインには、
ブルゴーニュのロマネ・コンティを始め、
一流生産者の使用樽を譲り受けて使用。
それができるのは、
彼らのワイン造りが高く評価されてのことです。
![](https://maliswine.com/wp-content/uploads/2021/04/download.jpg)
2018年ヴィンテージは、
シラー40%、グルナッシュ30%、カリニャン、
カベルネ・ソーヴィニョン15%ずつをブレンド。
南仏らしいブドウの果実味を
ピュアに引き出したスタイルです。
グラスに注ぐと、明るく美しいルビー色。
スミレの花のような芳香、
イチジクやシナモンなど甘い香りに、
ブラックオリーブ、黒コショウ、
ハーブ類のスパイシーな香りが、
複雑に混ざり合います。
口に含むと、
まろやかな果実味と程よいタンニンが
重量感を感じさせながら、
スーッと抜けるような酸味が心地よい余韻へ。
パワフルなだけでなく、
これだけ複雑味のあるワインを2千円台で楽しめるのは、
ペイ・ドックならではと言えるでしょう。
フランスの名だたる生産地を
経験済みのワイン通のあの人を、
ちょっと驚かせる贈り物としてもお薦めできます。
その際には、
ぜひユーモアのあるメッセージをラベルに添えて。
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メッセージを書く練習用も兼ねた、
もう1本にはカスレを合わせてみました。
我が家の赤ワイン献立にときどき登場するカスレは、
フランス南部の地方料理で、
白いんげん豆と肉の煮込み。
鴨肉や豚足など
地域や家庭によって素材が異なるそうですが、
我が家ではお手軽な、豚スペアリブを使います。
![](https://maliswine.com/wp-content/uploads/2021/04/IMG-8905a-1024x713.jpg)
肉に焼き色を付けたら、
ベーコンと香味野菜のみじん切りを炒め、
豆とトマト缶とハーブ、
途中でソーセージも加えて煮込むこと30分。
パン粉とバターをのせて、
オーブンでこんがりと焼き上げます。
肉の風味を引き立てるタイムと
ローリエがアクセントになった、
コクのある煮込み料理は、
しっかりとした味わいの赤ワインにぴたりと寄り添う一皿。
![](https://maliswine.com/wp-content/uploads/2021/04/IMG-8994a-1024x613.jpg)
スープの冷めない距離に暮らしていたら、
母にも味見してもらいたかったなぁと思いながら、
温かい料理を口に運びました。
それでは、みなさまの食卓が、
素敵なワインで心豊かになりますように。
ワインの詳しい紹介は、こちらへ。