旅をしたい気持ちに寄り添うワイン
by A. Madoka
あぁ、旅に出たい。
ため息まじりに、つぶやくことが多くなりました。
そんなとき目に留まったのが、石垣島へ移住した知人が
SNSで紹介していた「西表キッチン」さん。
西表島産にこだわった、手作り食材のオンラインショップ。
長命草を加えたバジルペースト、ピタンガというフルーツを使ったジャムなど、
食卓に取り入れやすいペーストやジャムに、
西表島ならではの魅力がキラリと光ります。
興味を惹かれて、さっそくお取り寄せをしてみました。
はるか南の島の住所が書かれた封筒を開けると、
かすかに現地の風が吹き込んでくるようです。
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「宮古赤味噌のピーナッツ豆乳だれ」は、宮古島の麦味噌、
西表島の塩や黒糖、島トウガラシなどを使い、
インドネシアのガドガドソース風に仕上げたペースト。
スティック野菜に添えたり、おにぎりの具にしたりと、
いろいろな楽しみ方がありそうですね。
今回は北京ダック風・鶏肉のクレープ巻きに添えて、
甜面醤のような感覚で楽しんでみようと思い立ちました。
鶏モモ肉は塩を振って、フライパンでこんがりと焼き上げ、
しょう油とみりんで、軽く味付けをします。
あとは、生野菜、春巻きの皮をホットプレートで焼いた、
春餅風のクレープを添えるだけ。
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合わせるワインは自然派のイタリア赤を選びました。
ソシエタ・アグリコラ・ボット・ディ・アンドレア・エ・ステファノ・ボットという生産者のDOCGアックイ 2018
このワインが、とっても面白いんです。
ワイナリーがあるのは、イタリア北部ピエモンテ州の
アレッサンドリア県に位置するリカルドーネ村。
人口600人ほどの小さな村では、多くの人がブドウ栽培に従事しています。
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このワイナリーも、ブドウ栽培農家として5代続いており、
そのノウハウを生かしながらワイン生産を始めて2代目。
有機栽培の畑から完熟ブドウを手摘みで収穫し、
発酵には野生酵母を使用する、自然派の造り手です。
DOCGアックイ(ブラケット・ダックイ)は、
地場品種ブラケットの赤ワインに認められた原産地呼称。
その多くは甘口タイプの微発泡ワインとなるので、
ドライな味わいのスティルワインはとても希少といえます。
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ワインをグラスに注ぐと、華やかな香りが広がりました。
縁が微かにオレンジを帯びた、美しいルビー色。
レッドカラントやアセロラを思わせる赤い果実の香りに、
紅茶やバラのような洗練された深い芳香が入り混じります。
鶏肉のクレープ巻きと一緒に味わってみましょう。
しょう油色の皮は香ばしく、お肉はふっくらとした鶏肉、
レタス、キュウリのみずみずしさと、白髪ねぎの辛味。
これだけで美味しいバランスと自負していましたが、
ペーストを添えると、たちまちコクと風味が深まりました。
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つぶつぶのピーナッツの食感があり、黒糖の甘さが上品。
なめらかで濃厚な味わいに、ニンニクやショウガ、
島トウガラシの滋味がとけ込んで、
シンプルな鶏肉料理に奥行きをプラスしてくれます。
ワインは、素直な果実の甘味に、どこか梅を思わせる
甘酸っぱいフレーヴァーが調和。
口をさっぱりとさせながら、
味噌の味わいがアクセントになった肉料理を引き立てます。
アニス(八角)のような風味も、
今回の中華テイストの料理にぴったり。
軽やかなミディアムボディですが、
枯れ草のような熟成香、自然派らしい深い旨みがあり、
余韻はかなり長いタイプ。
軽く冷やして味わうのがおすすめです。
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「西表キッチン」さんとメッセージをやりとりできました。
東京からご家族で移住して十数年。
西表島には特産品以外にも、美味しいフルーツやハーブが
豊富にあり、そういったものを子どもたちに食べさせてきた
お母さんの目線で、島の食材を紹介したい。
そんな温め続けてきた想いを形にしたブランドで、
できる限り地元産、無農薬・無添加にこだわっています。
お惣菜系ラインナップも充実させていくそうで楽しみです。
ホームページはこちら。
![](https://maliswine.com/wp-content/uploads/2021/08/IMG-4835改-1-1024x762.jpg)
イタリアの小さな村で丹精込めて育てられた、
希少品種が華やかに香り立つ、素朴で力強い赤ワイン。
西表島の恵みをギュッと詰め込んで、
いちばん美味しい加減に仕上げたペースト。
それぞれの背景にある地元への愛に想いを馳せると、
食卓で旅の気分をうっとり味わうことができました。
それでは、みなさまの食卓が、
素敵なワインで心豊かになりますように。
ワインの詳しい紹介は、こちらへ。