秋の味覚に寄り添うワイン
by A. Madoka
日差しはやわらかく、涼しい風が吹き、
そろそろ本格的に秋の気配ですね。
いつものお肉料理に、秋の味覚を添えて楽しみたい気分。
真っ先に思い浮かんだのが、キノコを使ったソースです。
マイタケにエリンギ、そこにちょっとプラスしたいのが、
ポルチーニ茸。
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濃厚な風味を持つイタリアの高級キノコ、ポルチーニ。
輸入食材店やこだわりのスーパーマーケットで、
乾燥のものが気軽に手に入りますね。
ひたひたの水に20分ほど浸してから、刻んでおきます。
戻し汁もソースに使うのを、お忘れなく。
お肉は豚ロース肉を用意しました。
脂身の部分に包丁で筋を入れておけば、
反りや焼き縮みがなく、きれいに焼き上げられます。
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両面をこんがりと焼いたら、網の上に取り出しておきます。
このとき、下に落ちた肉汁もソースに使いましょう。
さて、ソースの準備です。
タマネギをバターで炒め、キノコも炒め合わせます。
強めの火で手早く炒めることが、
キノコの食感と風味を損なわない秘訣。
味付けのことは、また後ほど記します。
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さて、キノコのソースがアクセントのポークソテー。
合わせるワインは、重すぎず、深みのある赤ワインが
良さそうですね。
選んだのは、ドメーヌ・デュ・ビュイロンの
コトー・ブルギニョン・ルージュ キュヴェ アロブロジカ 2018
ボジョレーの南端、ブルイィ村にある畑の中のカーヴで、
当主のテュエリー氏が造る自然派ワイン。
完全オーガニックでブドウを栽培し、
醸造中のSO2は使用しません。
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ボジョレー地区といえば、11月の第三木曜日に解禁される
新酒ボジョレー・ヌーヴォーがおなじみですね。
ガメイ種で造られた、赤とロゼのワインが、
AOC(原産地呼称)ボジョレー。
もちろん新酒の時期以外にも、
美味しいワインが通年出荷されています。
こちらのワインは、ピノ・ノワール90%にガメイをブレンド。
AOCとしては、コトー・ブルギニョンとなります。
テュエリー氏がドメーヌを開くにあたって、
ブルゴーニュの有名生産者のもとで働いた経験から、
こだわってピノ・ノワールを植えているそうです。
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縁は紫色を帯びた、落ち着いた色調のルビーレッド。
グラスを鼻に近づけると、最初に
レッドカラントやアセロラのような
甘酸っぱい赤い果実のアロマが漂います。
その後に広がるのが、落ち葉や干し草のような、
熟成を感じる複雑な香り。
口に含んでみると、果実味の凝縮感、
非常にフレッシュな酸とともに、
きめこまやかなタンニンが舌を覆うように感じられます。
ライトボディとされていますが、香りも味わいも、
決して軽くはないというのが率直な感想。
ワインを造る過程で、3日間低温でマセラシオン(醸し)を
行った後、さらに1週間の高温マセラシオン。
そして1年間の樽熟成により、
ゆっくりと風味が形づくられています。
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美しい酸と熟成感を持つ、こちらのワインに寄り添うよう、
キノコソースの仕上げに少し、バルサミコ酢を加えました。
隠し味には醤油、少量パックのフォンドボーも加えて、
味わいに奥行きが出るよう工夫を。
キノコとバターの風味は、それだけでご馳走ですが、
ポルチーニを加えたことで、より濃厚で芳しいソース
に仕上がりました。
あっさりとした甘味、引き締まった肉質の豚ロース肉は、
くどさがなく、このソースを受け止めるのにぴったり。
腐葉土のような深みが、キノコ独特の芳香に寄り添い、
ピュアな酸が、こってりとした口の中をさっぱりとさせてくれる。
そんな、つかず離れずのペアリングになりました。
ワイン単体で味わうと、舌にまとわりつくように感じた
タンニンも、お料理に合わせると程よい加減です。
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グラスを持ち上げるたびフワッと漂う香りが食欲をそそり、
秋の食卓をいっそう美味しく盛り上げてくれるワイン。
さて、開けてから一日置いてみると、
スミレのような心地よい花の香りと、
ヘーゼルナッツのような香りが際立ちました。
ボトルのなかでゆっくりと表情を変えていくのも楽しみです。
それでは、みなさまの食卓が、
素敵なワインで心豊かになりますように。
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