ウニに寄り添うワイン
by A. Madoka
黒いトゲトゲの殻を割ると、中から現れる黄金色の身。
うっとりとする濃厚な味わいを、物心ついたときには
知っていたように思います。
生まれも育ちも北海道、幼少期は海辺の街に暮らしました。
大人になるにつれ、ウニが、この上ない贅沢品であると
知ったのでした。
あるとき、札幌の隣の街・小樽で、友人が案内してくれた
漁師さんの仕事場。
とれたてのウニを割って、ふるまってくれた、
そのとろけるような美味しさ。
目の前には青い海が広がっていて。
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東京での暮らしが長くなってみると、
あの満ち足りた光景が、夢だったかのように思われます。
北海道への帰省が叶わなかった昨年の夏。
漁師さんが、旬の海産物のオンライン販売を始めたと知って歓喜しました。
旬を迎えた、小樽・高島漁港のとれたてウニ。
今年も取り寄せました!
上品な甘味のキタムラサキウニと、
鮮やかなオレンジ色で旨み濃厚なエゾバフンウニを、
半分ずつ楽しめるセットです。
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早く味見したいと、はやる気持ちを抑えて、
ウニと合わせるワインを選びましょう。
ウニ独特の磯の香りに寄り添う、ミネラル感や
キレの良い酸が、キーワードになりそうです。
キリッと辛口のシャンパンとは、ぴったりの相性ですね。
シャンパンと呼ばれるのは、フランス北部の
シャンパーニュ地方で、ブドウ品種と製造法の
規定を満たして造られた発泡性ワインのみ。
ですが、シャンパンと同じ瓶内二次発酵の製法を用いた
スパークリングワインが、フランス各地で造られています。
それぞれに造り手のこだわりが光り、
シャンパンに比べて、手ごろな価格も嬉しいところです。
そのうちのひとつが、ブルゴーニュ地方の
AOC(原産地統制呼称)クレマン・ド・ブルゴーニュ。
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今回選んだ、ドメーヌ・グラシュー・シュヴァリエは、
ブルゴーニュの最北端、シャブリ地方の南に位置する
イランシーのメゾンです。
オーナーは、クレマン・ド・ブルゴーニュ生産量の
約40%のシェアを持つ、ヴーヴ・アンバル。
1898年に創業したクレマンの名門生産者です。
シャブリといえば、牡蠣をはじめ魚介類によく合う
シャルドネの名産地として世界的に知られていますね。
石灰岩質に牡蠣の貝殻などの化石が含まれた、
キンメリジャンと呼ばれる土壌が特徴的で、
ブドウに上質なミネラル感をもたらします。
このクレマンのブドウが育てられる、シャブリ近郊の畑にも
同じ特徴が見られ、リュット・レゾネ(減農薬栽培)で、
テロワールを尊重して栽培されます。
セパージュは、ピノ・ノワール40%、シャルドネ35%、
アリゴテ25%
最初に圧搾された上質なキュヴェを使用し、
マロラクティック発酵の後、
澱の上で24~35カ月間かけて熟成されます。
グラスに注ぐと、シュワーッと爽快な音を立てて、
きめ細やかな泡がしばらく持続します。
ワインの色は明るい黄金色。
リンゴや白桃を思わせる、みずみずしい香りに、
アップルパイのような
少し香ばしいアロマが入り混じります。
口に含んでみると、フレッシュなリンゴをかじったような
溌溂とした味わいと、キリっとした酸が印象的。
ミネラル感と熟成による旨みをしっかりと感じ、
長い余韻が続きます。
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ウニは、キタムラサキウニから味見しましょう。
磯の香りと優しい甘味が、ふわりと舌にのって、
たちまち幸福感に満たされます。
はかなく溶ける繊細な食感は、まるでメレンゲのよう。
ワインを口に含んでみると、果実味が、
磯の香りを邪魔することなく優しくとけ合って、
心地よい余韻をもたらします。
エゾバフンウニは、とろけるような食感。
なめらかな身に詰まった濃厚な旨みを、
ワインのいきいきとした酸が包み込み、
キリリと引き締めるような印象です。
次のひとくちのウニが、よりまろやかに感じられ、
引き立て合うような素晴らしい組み合わせ。
ウニは、そのままで贅沢なごちそうですが、
温かいご飯にのせてウニ丼にしたり、
他の食材と合わせたりしても楽しいですね。
おすすめは、ほろ酔いでも3分で作れるウニのパスタ。
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極細のパスタ、カッペリーニを用意して、
グラグラと煮立った熱湯に、
たっぷりの塩を入れて2~3分で茹で上げます。
アツアツのうちにバターを絡め、
ウニをトッピングしたら完成!
ウニを崩しながら、いただきます。
エゾバフンウニで試してみましたが、熱が加わることで、
旨みの輪郭がさらにくっきりと濃くなりました。
濃厚でクリーミーなウニに、バターのコクが加わって、
もう最高の贅沢。
それでは、みなさまの食卓が、
素敵なワインで心豊かになりますように。
今回ウニをお取り寄せしたひゅうま丸さんのホームぺージはこちら。
漁期は8月末までですが、8月初めごろまでが、
最も甘味が濃厚で美味しい時期です。
ワインの詳しい紹介は、こちらへ。